2014年09月30日

航空豆知識「空中衝突の防止 その2」

アルファーアビエィションの飛行教官、整備士がお届けする毎回大好評の航空豆知識。
今回は空中衝突の防止の2回目としてヘリコプターの教官がためになる情報をお届けします。

「空中衝突の防止 その2」
大空を自由自在に飛べる航空機ですが、衝突などの航空事故を防止するために様々な空のルールを守って飛んでいます。
その一つが「巡航高度」です。

航空機は、地表または水面から900m(計器飛行方式により飛行する場合は300m)以上の高度で巡航する場合には、国土交通省令で定める高度で飛行しなければならないと航空法で定められています。
多くの旅客機は基本的には計器飛行方式で飛行していますが、調布飛行場と大島や新島などの伊豆諸島の間を飛んでいる旅客機などのように有視界飛行方式で飛行している旅客機もあります。

上記の、国土交通省令で定める高度とは、
@ 磁方位0度以上180度未満で飛行する場合(東向きに飛行する場合)
ア、有視界飛行方式により飛行する航空機は、1,000フィートの奇数倍に500フィートを加えた高度
イ、計器飛行方式により飛行する航空機は、1,000フィートの奇数倍の高度

A 磁方位180度以上360度未満で飛行する場合(西向きに飛行する場合)
ウ、有視界飛行方式により飛行する航空機は、1,000フィートの偶数倍に500フィートを加えた高度
エ、計器飛行方式により飛行する航空機は、1,000フィートの偶数倍の高度
となっています。これをもう少し分かりやすくすると…

 (西)         ⇔           (東)
  6000フィート(1000フィートの偶数倍)
             ←   計器飛行・西向き  Aのエ

  5500フィート(1000フィートの奇数倍+500フィート)
             →   有視界飛行・東向き  @のア

  5000フィート(1000フィートの奇数倍)
             →   計器飛行・東向き  @のイ

  4500フィート(1000フィートの偶数倍+500フィート)
             ←   有視界飛行・西向き  Aのウ

西向きと東向きで1000フィートの奇数倍・偶数倍を指定し、有視界飛行方式はそれに500フィートを追加することにより、航空機間の垂直方向には常に500フィートの高度差を設けることができ、航空機同士の空中衝突を防止しているのです。
空の世界では皆が航空法を遵守して安全に飛行しています。

富士山.jpg


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2014年08月30日

航空豆知識「水陸両用ヘリコプター」 動画あり!

アルファーアビエィションの飛行教官、整備士がお届けする毎回大好評の航空豆知識。
今回は水陸両用ヘリについてヘリコプターの教官がためになる情報をお届けします。



「水陸両用ヘリコプター 運航編」
ヘリコプターには水陸両用のヘリコプターがあります。
ロビンソン社から発売されているR44に、フロート式着陸装置すなわち浮き袋みたいなものをスキッドの着陸装置に装着したものがそれです。見た感じ、いかにも水面に浮くヘリコプターという感じです。

水陸両用のヘリコプターの特徴は、陸上に降りるときは航空法で決められた離着陸の場所、すなわち飛行場やヘリポートに着陸しなければなりませんが、これに対して水上に降りる場合は、日本には水上飛行場や水上ヘリポートがないのでその適用を受けず、極端に言えば、障害物がなく、ある程度の水深があり、他人に迷惑をかけなければ、海上、水上のどこにでも着陸することができます。

水上に着陸後、地上への移動は飛行ではなく、地上移動になります。
ただし、その地上に降りる場合は、その場所の許可を受けていなければなりません。勝手に人の土地に着陸することはできません。
とは言いつつも日本のように海や川、湖の多いところでは、とても魅力的です。

水上機が海上や水上に着陸した場合は、船として扱われ、海上衝突防止法の適用を受けます。
ただし船とは同等ではなく、水上航空機はできる限りすべての船舶から十分に遠ざかり、かつ、これらの船舶の通行を妨げないようにしなければならないと定められています。

「水陸両用ヘリコプター 操縦編」
さて、実際に運航して水上に着陸する場合、どのようなことに注意するのでしょうか。

着陸するときにヘリコプターは風に正対して着陸します。
その風の判定ですが、海では白波が崩れて流れていく方から風が吹いています。白い泡が流れるので流れている方向に風が吹いていると思いがちですが、実際はその逆なのです。川や湖の場合は、波が風によって流れていく感じです。

次に、着陸する際に水面が穏やかな場合は、水面までの高度が判定しにくくなります。
鏡のように澄み切った水上に着陸する場合は特に注意が必要で、ゆっくり水面に近づくように着陸しなければ高度判定ができず水面に激突してしまいます。水面に近づくと波が立ち始めるのでそれで高度判定をします。

着陸後の水上でのホバリングですが、ヘリコプターのローターが作る吹き下ろしの風により水面に波ができ、それが動くので、自分が動いていると錯覚して一点に止まることがとても難しいです。慣れてくると吹き下ろしの風によってできた波をヘリを中心に綺麗な円を作るようにすれば概ね止まることができます。

最後に水上でエンジンを止めるとどうなるでしょうか。
エンジンを停止した直後は何も起きませんが、テールローターの回転がなくなってくると左に回り始めます。ローターを止めようとブレーキをかけるとさらに左に向いてしまいます。360度回るときもあります。
その逆にエンジンをかけてローターが回り出すと、今度は右に回り始めます。ですからエンジンを回してローターが回り出すときは左のラダーペダルをしっかり踏んでおきます。

海上への着陸は推奨されていませんが、着陸しなければならない場合は、白波が立っていない場所に着陸します。白波があると波高が30cm以上となっていて、着陸するとその波で横転してしまいます。

いろいろ注意点はありますが、これらのことに注意すればとても楽しく、便利なヘリコプターです。空、海、陸を踏破したすばらしいヘリコプターです。
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2014年08月14日

航空豆知識「飛行機の窓」

アルファーアビエィションの飛行教官、整備士がお届けする毎回大好評の航空豆知識。
今回は飛行機の窓について飛行機教官がためになる情報をお届けします。

「飛行機の窓」
皆さんが電車やバスなどに乗るときは、窓が大きく外もよく見えるので、景色を楽しみながら移動されていると思います。
しかし旅客機に乗ってみると電車やバスに比べて、窓がずいぶん小さいと感じられるのではないでしょうか。
それは旅客機の場合は機体の強度を保つために小さく設計されているためです。

旅客機は通常は高度10,000m付近を巡航します。
その時は飛行機の外の気圧は地上の3割程度しかありません。しかし機内の気圧は地上の8割程度に保たれています。
この気圧差から機体を守ろうとした場合、窓を大きくすることは強度の面から考えても非常に不利になります。

胴体に窓を作ると、窓の穴の周囲に金属とガラスという異なる素材の継ぎ目ができることになり、そこは金属疲労が発生しやすい部分になります。
旅客機の客室の窓は、通常アクリル樹脂のパネル3枚からできていて、飛行中に1枚のパネルが壊れても、その窓から機内の空気が外に流れ出ないようになっています。
つまり多重構造にすることと、窓を小さくすることにより、強度を保っています。

小型飛行機は、旅客機のように高い高度を飛行することはなく、通常は3,000m以下で飛行するため、機内の気圧を高める必要はありません。
つまり小型飛行機では、飛行中に機内と機外の気圧差が生じることがないため、窓を小さくしたり多重構造にしなくても十分強度は保たれることになります。
アルファーアビエィションで使用している訓練機、ダイヤモンド式DA40型機(単発機)、DA42型機(双発機)及びセスナ式C172型機(単発機)は、飛行中の視界もよく、ほぼ360度に近い範囲で空中より地上を見ることができます。

飛行機の操縦免許や、さらに上級の資格取得を検討中の方は、ぜひアルファーアビエィションまでお問い合わせ下さい。

ジャンボ2 (1).jpg
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